投資ファンドは野村不動産の不動産特定共同事業法上のSPCと不動産特定共同事業契約を締結し、匿名出資を行います。野村不動産自身もSPCに出資することで、コンサルフイーを徴収するスキームです。野村不動産では海外の投資ファンドと不動産特定共同事業法上のSPCプロパティ・インベスター・インターナショナル)をもって不動産ファンドと位置づけています。しかし、これは不動産特定共同事業法の変形に過ぎず、いわゆる「会社型」や「信託型」の不動産ファンド、REITとは似て非なるものといえます。換言すれば、資金調達の多くを海外のファンド(不動産ファンドとして)で行い、SPCをその日本支店(子会社)のように位置づけて日本の不動産に投資するだけの話です。他方、不動産特定共同事業法を活用することによって、税制のメリットを享受するとともに、’情報開示における不備を日本法規外で補おうとするものと思われます。ただ、日本でアメリカのREITと同じ不動産ファンドを組成するには多くのハードルや重い税負担という課題があり、このようなスキームを採らざるを得なかったのが実’情ともいえそうです。それだけに、日本国内で不動産特定共同事業法を活用したスキームを日本の不動産ファンドと呼んでいる一部の関係者の苦労を理解できるような気がします。(2)安田生命による投信設定安田生命は、保有する全国8都市のオフイスビルを私募投信の「玉」にして、不動産ファンドを事実上組成しました。まず安田信託銀行に不動産信託したのち、信託受益権19億円をSPCに譲渡しました。SPCは3種類の社債計108億円を発行し、その社債を裏付けとする証券投資信託を安田ペインウェーバー投信が設定しました。SPCが発行した3種類の社債は期間が約5年で、金利は各々2.15%、2.45%、2.95%となっています。この私募投信は、投資家として他の生命保険、損害保険、地方銀行などが購入したと報じられています(日本経済新聞、2000.3.29朝刊)。つまり、投資家が少数の機関投資家に限られていることから、「プロ私募」による投信設定であったことが伺われます。現在の公社債投信が1%前半の還元利回りであることを考慮すると、この私募投信の利回りは少なくとも2%台は確保でき、機関投資家にとっては旨味のある投資といえます。
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